課題(7) 概要と目的、取り組み体制
作者: admin
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2016年10月27日 10時22分
課題責任者 東京大学物性研究所/理学系研究科物理専攻 常行真司
国際競争力の高いエレクトロニクス技術や構造材料、機能化学品等の開発を、大規模超並列計算と
計測・実験からのデータやビッグデータ解析との連携によって加速し、次世代の産業を支えるデバイス・材料を創成する。
- 次世代高機能半導体デバイスを支える材料・構造体の物性解明と予測および次世代デバイスのミクロ・マクロ階層化シミュレーションを可能にするための、量子論に立脚した先端的計算手法をポスト京アーキテクチャ上で開発し、計算物性科学の最先端を切り開くとともに、次世代高機能半導体デバイス・シミュレータを構築し、新たな産業の発展に資する。
- ナノ界面・表面での光と電子の動的結合を露に扱う光励起電子ダイナミクス理論及びその理論に基づく第一原理計算手法を開発し、従前の電子デバイスとはその動作原理が根本的に異なる、光・電子融合デバイスの理論設計を行う。具体的には、広帯域・高効率光電気変換デバイス、超消費電力・超高感度センサー、近接場光励起を利用した新規光化学反応場誘起デバイス、高次非線形光学応答を利用した超高速光スイッチングデバイスの理論設計を行い、実験や産業界とも密接に連携し実在系光・電子融合デバイスの実現を目指す。また、光・電子融合デバイスの超微細設計を着実に実現するための3次元的非熱ナノ加工技術を確立する。
- 次世代の超省電力量子およびスピントロニクス基盤技術創出と実用化に資する指針の探求を目的とする。「京」で得られた超伝導とスピントロニクスに関する知見を基礎に、実験研究との連携を進め、ポスト「京」による革新的な計算手法により、(1)高温超伝導体の超伝導機構解明をもとにする転移温度上昇指針の探求 (2)強相関トポロジカル物質表面における純粋スピンキャリア実現のための第一原理的理論物質設計を行う。
- 自動車用モータに用いられる強力磁石および不揮発性メモリ等磁気デバイスで用いられる磁性材料・構造の機能発現機構の解明とその物性予測を行うための高精度・大規模シミュレーション技術を構築する。それらを用いた結晶粒、粒界、界面・薄膜の構造と磁性の第一原理計算に基づき材料の高性能化の指針を与えるとともに、新材料の系統的探索を行い、希少元素の代替と低消費電力社会の実現に資する。
- 発電プラント、ビル・橋梁等の大型構造物、輸送車両等、社会基盤を支える金属系構造材料の特性改善への社会的要請は極めて大きい。金属材料の特性を支配する微細組織の構成要素(異相界面・粒界・転位・欠陥・不純物など)やそれらの間の相互作用を大規模第一原理計算により明らかにし、粗視化手法に連結することで、微細組織の構造・性質、形成過程を大規模Phase Field法で高精度にシミュレートする計算技術を確立する。これにより、強度や信頼性等の飛躍的向上と希少元素低減化の設計技術を確立する。