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なぜ高温超伝導体は界面で優れた特性を持つか?― 銅酸化物界面で超伝導転移温度が安定に最適化される機構を解明

作者: 下敷領恵美 最終変更 2016年09月06日 11時05分
東京大学物性研究所計算物質科学研究センターの三澤貴宏特任研究員、東京大学工学系研究科物理工学専攻今田正俊教授らは、スーパーコンピュータ「京」を駆使して銅酸化物界面の大規模シミュレーションを行い、銅酸化物界面の実験結果を再現するのみならず、界面では超伝導転移温度が自動的に最適化され、キャリア濃度を変えても固体の場合の最高転移温度に保たれることを見出し、謎であった現象の起源としくみの解明に成功しました。発見した機構をもとに、最適化が難しかった物質群に対し、今後より安定で高い転移温度の超伝導体をデザインする研究が活発化すると期待できます。

 

 

常圧で最高の転移温度を持つ銅酸化物高温超伝導体が1986年に発見されて以来、全世界で精力的な研究が続いていますが、現在でもその機構は
十分には解明されていません。一方で超伝導体の薄膜や界面は通常のバルク物質の結晶とは異なる性質や制御性を示すことから、機構解明に
相補的な知見をもたらすと期待され、また独自の応用の可能性も期待されています。しかし純良な薄膜や界面の作成は高度の作成技術を要し、
困難
でした。ようやく近年、実験技術の進歩によって、2種類の電子濃度を持つ銅酸化物高温超伝導体を張り合わせた構造の上質界面が作成され
ましたが、
驚くべきことに、この界面では超伝導転移温度がキャリア濃度に全く依存せず、バルク結晶とはまったく異なる安定して優れた性質を持つ
結果が報告
されました。

東京大学物性研究所計算物質科学研究センターの三澤貴宏特任研究員 (研究当時 東京大学 大学院工学系研究科助教)、東京大学工学系研究科
物理工学専攻今田正俊教授、エコール・ポリテクニーク(フランス)野村悠祐博士研究員およびジルケ・ビールマン教授は、スーパーコンピュータ「京」
を駆使して銅酸化物界面の大規模シミュレーションを行い、この実験を再現するのみならず、界面では超伝導転移温度が自動的に最適化され、キャリア
濃度を変えても固体の場合の最高転移温度に保たれることを見出し、謎であった現象の起源としくみの解明に成功しました。発見した機構をもとに、最適
化が難しかった物質群に対し、今後より安定で高い転移温度の超伝導体をデザインする研究が活発化すると期待できます。

本研究成果は、米国の科学雑誌「Science Advances」のオンライン版に掲載されました。

[東京大学物性研究所のプレスリリース]
http://www.issp.u-tokyo.ac.jp/issp_wms/DATA/OPTION/release20160730.pdf

[東京大学工学部のプレスリリース]
http://www.t.u-tokyo.ac.jp/foe/press/setnws_20160801104150830990252730.html

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